贖罪と喪失、そして愛の物語
ふたりはそんなふうにちがっていたが、それでも、おたがいにとってたいせつな存在でありつづけた。双子だけが双子の絆を理解できる。並んで育つ二本の木のように、枝と枝がからみあうのだ。
双子の妹オナーが事故死して一年、ローレルは再びアイルランドにやってきた。
現実主義のローレルに対して古い伝説や妖精の存在を信じていたオナーの日記には、妖精たちをほのめかすような"彼ら"や"使命"といった言葉が繰り返されていた。妹の死に打ちひしがれていたローレルは、事件の真相を知るため、オナーに再び会うためアイルランドにやってきたのだ。
ローレルの前に現れた妖精たちは、使命を果たす前に死んでしまったためにオナーは、今この世界と妖精国の境目に捕らわれていると告げる。ローレルはオナーの代わりに、その使命、つまり<夏至祭>最初のかがり火をともす<夏の王>を探すという役割を果たすための旅に出ることになるが...
贖罪と喪失、そして愛の物語です。
ローレルは旅を進めながら、オナーを失った痛み、彼女を死なせたてしまったという罪の意識と向き合うことになり、そこに過去<夏の王>が犯した過ちが絡み合いながら物語は進んでいきます。 メリングの他の3作よりも暗い色調を帯びていますが、それがまた魅力になっています。
また、これまでのメリング作品は、多かれ少なかれ妖精や伝説を信じて親しみを持っている主人公達がアイルランドでそれらもう一つの世界に触れる冒険譚でしたが、今回の主人公ローレルはもっぱらのリアリスト、妖精なんて信じておらず、本を読んだり思索に耽るより身体を動かすことが好きという少女です。したがって、それまでの自分の常識をはるかに超える出来事を認めるのに多大なジレンマを感じます。妖精たちに振り回されるというよりもむしろ、妖精の襟首をつかみあげかねない主人公の性格にまた親しみを感じました。
『妖精王の月』の後日譚にあたるお話ですが、前作を読んでいなくても充分に楽しめます。
このお話が好きな人へ 主観的なおすすめ本
O.R.メリング 『妖精王の月』 『光をはこぶ娘』 『歌う石』
妹尾ゆふ子 『チェンジリング』
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