人にはない不思議な力をもつ一族がいた。
僕たちは、草に頬ずりし、風に髪をまかせ、くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながらこの世界で暮らそう。そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう。
不思議な能力を持ち、穏やかで知的で、権力への志向を持たず、普通の人々の中に埋もれて暮らす「常野」の一族。多様な能力を持つ一族の物語を綴った短編集。
膨大な量の記憶を保存できる家族を描いた『大きな引きだし』、異物を排除しようとする人類の意志に"裏返されてしまった"夫を探す妻の『オセロ・ゲーム』、一族の皆を助けてひとりはぐれた亜希子の『歴史の時間』『黒い塔』、長命のツル先生が過去に、子どもたちを失ってしまった話『光の帝国』...。
とても優しく、哀しいお話だと思います。それぞれに独立した短編でありながら、読み進むにつれて常野の哀しい歴史と未知の未来が浮かび上がってきます。私は『大きな引きだし』と『光の帝国』、『二つの茶碗』が特に好きでした。涙もろい方は電車の中等では読まれないようおすすめします。
ここに収録されている短編のいくつかには続きがあるようで、いつかそれらが出版される日を望みます。
このお話が好きな人へ 主観的なおすすめ本
恩田陸 『蒲公英草紙』 『エンド・ゲーム』 『図書室の海』
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